アクアリウム

− 分類 − 

一般論を記載すると、とても書ききれないので。ここでは特記事項と、本コンテンツ関連事項等を中心に説明します。

アクアリウムという言葉の意味は広く、広義には水槽飼育全体を含む物ですが。一般的には、「熱帯魚飼育」をさします。全体では、「金魚」と「熱帯魚」に大別され。カタカナでアクアリウムとした場合、熱帯魚飼育を指す事が多いようです。

さらに熱帯魚飼育も、単独、もしくは少数の大型魚をペットのように飼う場合と。水草等と、多数の小魚を混泳させる、レイアウト水槽とがあります。


(左)アロアナ、ディスカス等は単体、もしくは少数飼育。  (右)水草と多数の小型魚を混泳させる、レイアウト水槽。
ネイチャー・アクアリウム等もこれの一種で、レイアウト水槽は「情景レイアウト」とも言います。

単体を育てるのが好きな人と、集合体として全体のバランスを作るのが好きなタイプに別れるのですが。
この違いは多くの趣味に見られ。盆栽の場合は、「単品物」と「寄せ植え盆栽」。模型の場合、「フィギュア」と「ジオラマ」。写真の場合「ポートレート」「フォトグラフ」もこれにあたるでしょう。

.

.

.

− 新技術 −

水槽飼育技術は、硝化細菌の登場(発見)により大幅に進歩しました。

この効果は昔から経験的に分かっていましたが。研究の進歩により、具体的な化学反応が解明されたため。「水槽機材」「水槽作業」両面において、このような経験則が理論的に裏付けられたのです。



金魚飼育は、五百年以上続く日本の伝統文化です。
(大森松男著「金魚の買い方」)

それゆえ日本は、伝統的飼育方法が、大変多く受け継がれていて。

世界的にみても珍しい程、高度な「観賞魚飼育」技術を有します。

これにより「生物ろ過フィルタ」が大幅に進歩しました。
エアレーションや物理ろ過が中心だった浄水器具に、この「見えない汚れ」を取り去る技術が加わり。水量に対する魚の飼育量が増大したのです。

一方でこれは逆に、少ない水量での水槽飼育をも可能したため。個人ユーザーの分野においては特に、極めて水槽の小型化が進み。
以前は90センチ水槽を基準に、60センチは小型水槽として分類されていたものが。逆に今では、60センチなどは、大型と言っても過言でない状態になっています。


魅力溢れる小型水槽。近年では幅10センチ前後の物も登場しています。

ただし。その実、水槽は大きい方が管理は楽になります。
逆に、ある程度の大きさで、水質が安定し。なおかつ、あまり見栄えを気にしなければ。数年単位でのメンテナンス・フリーを実現する事も可能です。
もちろん極小水槽は、メンテナンス自体が極めて簡単で、かつ身近に置けるため、操作性も良いので。一長一短があると言えるでしょうか。

また。気を付けなければならないのは。バクテリアは、化学薬品でも触媒成分でもないという点です。
つまり「生き物」ですので、死んでしまっては効果がありませんし。活動環境が揃わないと、本来の効果は発揮しません。


バイオ添加剤。「自然界の浄水システム」を利用しています。

余談ですが。
昔。縁日ですくった金魚は、三日で水が白くなり、一週間で死んで。「金魚の墓」になるのが常でした・・・。もちろん、こうして子供は生き物の尊さ、儚さを学ぶ訳ですが。
生物ろ過・バイオ添加剤等を使えば、すぐに「こなれた水」が出来上がるようになったので、こうした悲劇も少なくなりました。

.

.

.

− 照明装置 −

光の、植物に及ぼす影響の研究も進んでいます。
この事はまだ、研究の余地が残っている分野でもあるため。水槽機材面にも、それほど積極的に取り入れられていませんし、知名度も低い事象ですが。
「成長に必要な波長の光」、「花を咲かせるに必要な波長の光」等。「分光」に対応する成長因子の発生の研究も進んでいます。

水槽機材では今のところ、ここまで具体的効果を発揮する製品は作られていませんが。魚の色を鮮やかに見せる照明や、生息域の光に近い色を再現する物などが発売されています。


様々な照明装置。用途に応じて適用されています。

「白熱球」「蛍光灯」「メタルハライド」「LED」等があり。熱を持つ白熱球は爬虫類、蛍光灯は水草、メタハラは海水のように、用途に応じて適用されています。

以前の照明装置は、魚の生活リズムを作るのが目的だったので。それ程強い光量を必要としていませんでしたが。
照明技術の進歩により、極めて多くの「水草」が配置できるようになりました。

これにより、魚の飼育量にもよりますが。水槽内に発生する毒素を、最終段階まで分解・除去できるようになりました。
アンモニア(見えない汚れ)を前記の硝化細菌により硝酸塩に分解。更には生成した硝酸を、肥料として、水草に吸収させる事ができるようになり。
まさに「水槽」という、小さな閉ざされた世界に、循環系を構築する事ができるようになったのです。



本当の意味で、水槽内に窒素循環を完成させる事は難しく。

実現させるためには、細密な成分調整・機材性能が必要になりますが。

市販の機材を使って。
個人の水槽でも、およそこれに準じたシステムを、構築できるようになりました。

チョッと難しい話ですが、要約すると、つまりこれは水換え頻度が減少する事を意味します。

水換えを怠る事は、オーナーの怠慢のようにかたられる事が多いのですが。
そもそも水換えは、水槽内に環境の変化をもたらし。魚にショックを与える、リスクの高い作業で、本来できる限り避けたい作業な訳で。

つまり、ろ過装置と照明装置の進歩は。超小型水槽の登場や、飼育スタイルの変化をもたらし。その上、水槽環境の安定化により、初心者にも優しい、その敷居を下げる役割を果たしたのです。

.

.

.

− 更なる発展 −

ろ過装置・照明装置の進歩は、前記の通り。「初心者にやさしい」アクアリウムの門戸を開きました。
しかし一方で。上級者の飽くなき挑戦は。これとは反対に、更に高度な飼育方法をも生み出しました。

「水草」を、水質浄化作用以上に多く用い、水草そのものの美しさを中心に表現する手法です。

限られた水量の中で、大量の水草を植え、強力な照明により強い光合成作用を起すと・・・。当然、これまでの水槽飼育では「大敵」だった炭酸ガスが逆に欠乏する訳ですが。何とこの、炭酸ガスをあえて添加するという方法が出現したのです。(また。水草に添加する肥料も、生物化学的酸素要求量を引き上げる。魚にとっては、ある意味毒です)

これにより。今まででは考えられないほどの、大量の水草を導入する事が可能になり。レイアウト技術も進み、サブカルチャーの域まで達しました。
いわゆる「ネイチャー・アクアリウム」の登場です。

技術と手法が、専門家の手により、芸術の域に達し。実際、コンテストに出展するようなレイアウトにおいては、まさに「息を呑む」美しさを持つようになったのです。


息を呑むほど、鳥肌が立つほど美しい、コンテスト仕様のアクアリウム水槽。

ただしこれは、メンテナンスの簡素化とは逆説的手法ですので、初心者の人は注意が必要です。

例えば、水草は相当スピードで成長し、具体的にはトリミング頻度も短くなります。高度な水槽においては、かなり煩雑な操作・作業を必要とし。美しさを保つのには、相応の手間が必要となります。
更には水槽内環境が、常に飽和状態に近く。前記の初心者対応とは逆の意味を持つ、上級者テクニックとも言えます。

挑戦する際は、ある程度の準備・勉強が必要となりますので。相談できるショップ等を探してから始めるのが良いでしょう。

.

.

.

− 最後に、アクアリウム総論として −

新進気鋭に思われがちのアクアリウムですが。金魚は前記通り、五百年の歴史を持つ、日本の伝統文化です。

金魚はこれ程の「伝統」を持ちながらも、国宝・文化財等とは全く異なる、庶民の文化として、人々に愛され続けてきました。
そして、これからもずっと。水槽飼育の持つ、心を癒す文化は。アクアリウム・テラリウム等。呼び名は変わりながらも、私たちの生活と共に、あり続けるでしょう・・・。


伝統の金魚も、オシャレの先端アクアリウムも。目指しているものは一緒と言えるでしょう。


Hat Full of Stars